BSやCSのアンテナがご家庭付いている方も多いのではないでしょうか。そのアンテナには円偏波という技術が使われています。また、GNSSの電波も右旋偏波が使用されていたり、我々は意外と偏波の恩恵を受けながら生活しています。
今回はその偏波について解説します。
【この記事で分かること】
- 偏波とは?
- 軸比とは?
- 交差偏波識別度とは?
【偏波とは?】
偏波とは、空間に対する電波の向きを指します。電界の振動が、一つの平面内にあるものを「直線偏波」、電界が進行方向に対して回っているように見えるものを「円偏波」と呼びます。
円偏波は右回りと左回りがあり、進行方向に右手親指を向けた時の回転方向の円偏波を「右旋偏波」、逆回りを「左旋偏波」と呼びます。円偏波は、直交する2つの平面の直線偏波がπ/2ずれていると考えることもできます。
【軸比とは?】
軸比とは、長軸と短軸の電界強度の比を表したもので、単位はdBで表します。
軸比は0dBに近いほど、まん丸の円偏波ということになります。また、アンテナとしては0dBに近いアンテナが良いアンテナになります。
【交差偏波識別度とは?】
交差偏波識別度(XPD:Cross Polarization Discrimination)とは、正偏波と逆偏波(円偏波だと右旋と左旋)の受信電力の比を表すもので、アンテナの指標として用いられます。
軸比がar(=10^-AR/20)の右旋アンテナについて考えてみましょう。円偏波アンテナは直交する偏波面の波がπ/2ずれて合成されます。右旋偏波は、軸比をarとして、強め合う方向に合成されますので、1+arの振幅の波になります。
逆に左旋偏波は、弱め合う方向に合成されるため1-arの振幅の波になります。したがって、交差偏波識別度は、軸比から以下のように求められます。
$$ XPD=20log \frac{1+ar}{1-ar}$$
この先から分かるように、軸比が良い(0dBに近い)アンテナほど、交差偏波識別度の良いアンテナになります。そのため、軸比はアンテナの指標としてよく用いられます。
交差偏波識別度が良いと、例えば、1回反射のマルチパスの影響を低減できるなどのメリットがあります。マルチパス対策の一つとして、本特性の良いアンテナを使うことは受信システムの最上流での対策となり、有効な方法です。
【まとめ】
- 偏波とは、空間に対する電波の向きを指す。
- 軸比は、円偏波の長軸と短軸の電界強度の比。
- 交差偏波識別度とは、正偏波と逆偏波の受信電力の比。軸比が良いほど交差偏波識別度も良い。
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